私の好きな関西弁
生まれも育ちも大阪。結婚するまでずっと同じ街に住んでいた。
父親はその街で生まれ育ち、いまだかつて出たこともない。
母親は父と結婚するまでは奈良の人だった。
私のまわりで関西弁以外のことばを話す人はほとんどいない状態で育っている。
唯一、3歳のときから家族ぐるみでつきあっていた北九州出身の一家。
そこの両親が話す九州弁は、とてもやさしく包容力のあることばだと受け止めていた。
「なんね?」「そうね」「はよしんしゃい」「しゃかぁしい!」
…おばちゃんは当時、今の私くらいの年齢だったが
体型も肝っ玉母さん的で、母以外の女性として圧倒的に信頼していた。
同い年の娘、ひろみちゃんの中学入学と同時に北九州に帰っていった。
小学校の国語の時間、「本読み」では、気持ち的には標準語ふうに読んでいた。
関東の人が聞いたらぜんぜんダメだろうけど、自分としては「本読みの時の読み方」のつもりだった。
中学に入って、別の小学校出身の子が本読みをするのを聞いて驚いた。
「ベタベタの大阪弁やん!」
「~やで」とか「~するねん」とか書いているわけではない。ちゃんとした文章なのに、誰がどう聞いても大阪弁なのだ。
この読み方、大人になっても直らないというのがわかった。
夫、夫の母、私の母…子どもに絵本を読み聞かせるとき、大阪弁でしか読めない。
ぐりとぐらが「ナニワの野ねずみ」になるのだ…!漫才コンビのようなのだ!
根っからの大阪人の私が聞いていてずっこけそうになるんだから、
大阪以外の人が聞いたらどう思うだろう?
そうはいいながら、私は関西のなまりが大好きである。
大学の恩師、廣岡教授は英文学の中の方言をライフワークにされている研究者だった。
彼の講義はいつも笑いが絶えなかった。
英語にもまったく同じようななまりがある、ということを大阪弁を例に挙げて説明してくださる。
d の音が r に変わる例として、
「よろかわのみるのんで、はらららくらり(=淀川の水飲んで、腹だだ下り)」
前後の音が発音しやすいように入れ替わる例として、
「てぐぬい(=てぬぐい)」などなど。
方言をバカにしてはいけない、というのが、教授の持論だった。
たいへん影響された。
大学は大阪にあったが、学生は近畿一円から集まってきていた。
そこで私は自分の住んでいた北大阪以外の関西なまりをたくさん知った。
京都の人は「~やし」「~しよし」 しが耳につく。「どす」舞妓ことばは特別だとわかる。
神戸の人は「いっとー」「しっとー」「いきよー」 とーは現在完了形でよーは現在進行形。
和歌山の人は「ざじずぜぞ」と「だぢづてど」が入れ替わる。「ぜんぜん→でんでん」
泉州の人は「そやしや~」「ほんでや~」 やーを多用。
奈良の人は「ほんでみー」 祖母が言っていた。男性は「ほんでよー」「行っこる、行っこった」
これらを基本に、いまではその人がどこに住んでいるかしゃべり方でわかるようになった。
結婚して嫁ぎ先の両親がよく使う言葉にも、わからないのがあった。
「いっしゅく」=ずっと、しじゅう
茨木・摂津地方のことばのようだ。同じ北大阪でも深いなぁ。
私の好きな大阪のことば
「ほたえる」=子どもがじっとしていずにガサガサして悪さをする様子。
「ごんた」=ごんたくれ。悪さをしたり、落ち着きなくききわけも悪い子。
「いちびる」=まじめに取り組まないこと。いちびる人のことを「いちびり」
「おぼこい」=すれてない、幼い。
「せんど」=何度も何度も。「せんど言うたやろっ!」
「ぼんぼん」=何の苦労もなく育ったお坊ちゃん。
「おっさん」「おばはん」=夫婦善哉のようなツレアイがお互いをこう呼ぶのがいい。
「往生する」=たいへん手がかかる。
「しゃあことなしに」=しかたなしに。
こうやって並べてみて、「おとなしく、お利口にしていないこと」に関することばが豊富なことに気づいた。大阪人、小さいときから「ごんた」に「いちびり」が多い。
その反対の子どもに対しては「お利口」ではなく、「カシコイ」という。
これも関西特有らしい。
父親はその街で生まれ育ち、いまだかつて出たこともない。
母親は父と結婚するまでは奈良の人だった。
私のまわりで関西弁以外のことばを話す人はほとんどいない状態で育っている。
唯一、3歳のときから家族ぐるみでつきあっていた北九州出身の一家。
そこの両親が話す九州弁は、とてもやさしく包容力のあることばだと受け止めていた。
「なんね?」「そうね」「はよしんしゃい」「しゃかぁしい!」
…おばちゃんは当時、今の私くらいの年齢だったが
体型も肝っ玉母さん的で、母以外の女性として圧倒的に信頼していた。
同い年の娘、ひろみちゃんの中学入学と同時に北九州に帰っていった。
小学校の国語の時間、「本読み」では、気持ち的には標準語ふうに読んでいた。
関東の人が聞いたらぜんぜんダメだろうけど、自分としては「本読みの時の読み方」のつもりだった。
中学に入って、別の小学校出身の子が本読みをするのを聞いて驚いた。
「ベタベタの大阪弁やん!」
「~やで」とか「~するねん」とか書いているわけではない。ちゃんとした文章なのに、誰がどう聞いても大阪弁なのだ。
この読み方、大人になっても直らないというのがわかった。
夫、夫の母、私の母…子どもに絵本を読み聞かせるとき、大阪弁でしか読めない。
ぐりとぐらが「ナニワの野ねずみ」になるのだ…!漫才コンビのようなのだ!
根っからの大阪人の私が聞いていてずっこけそうになるんだから、
大阪以外の人が聞いたらどう思うだろう?
そうはいいながら、私は関西のなまりが大好きである。
大学の恩師、廣岡教授は英文学の中の方言をライフワークにされている研究者だった。
彼の講義はいつも笑いが絶えなかった。
英語にもまったく同じようななまりがある、ということを大阪弁を例に挙げて説明してくださる。
d の音が r に変わる例として、
「よろかわのみるのんで、はらららくらり(=淀川の水飲んで、腹だだ下り)」
前後の音が発音しやすいように入れ替わる例として、
「てぐぬい(=てぬぐい)」などなど。
方言をバカにしてはいけない、というのが、教授の持論だった。
たいへん影響された。
大学は大阪にあったが、学生は近畿一円から集まってきていた。
そこで私は自分の住んでいた北大阪以外の関西なまりをたくさん知った。
京都の人は「~やし」「~しよし」 しが耳につく。「どす」舞妓ことばは特別だとわかる。
神戸の人は「いっとー」「しっとー」「いきよー」 とーは現在完了形でよーは現在進行形。
和歌山の人は「ざじずぜぞ」と「だぢづてど」が入れ替わる。「ぜんぜん→でんでん」
泉州の人は「そやしや~」「ほんでや~」 やーを多用。
奈良の人は「ほんでみー」 祖母が言っていた。男性は「ほんでよー」「行っこる、行っこった」
これらを基本に、いまではその人がどこに住んでいるかしゃべり方でわかるようになった。
結婚して嫁ぎ先の両親がよく使う言葉にも、わからないのがあった。
「いっしゅく」=ずっと、しじゅう
茨木・摂津地方のことばのようだ。同じ北大阪でも深いなぁ。
私の好きな大阪のことば
「ほたえる」=子どもがじっとしていずにガサガサして悪さをする様子。
「ごんた」=ごんたくれ。悪さをしたり、落ち着きなくききわけも悪い子。
「いちびる」=まじめに取り組まないこと。いちびる人のことを「いちびり」
「おぼこい」=すれてない、幼い。
「せんど」=何度も何度も。「せんど言うたやろっ!」
「ぼんぼん」=何の苦労もなく育ったお坊ちゃん。
「おっさん」「おばはん」=夫婦善哉のようなツレアイがお互いをこう呼ぶのがいい。
「往生する」=たいへん手がかかる。
「しゃあことなしに」=しかたなしに。
こうやって並べてみて、「おとなしく、お利口にしていないこと」に関することばが豊富なことに気づいた。大阪人、小さいときから「ごんた」に「いちびり」が多い。
その反対の子どもに対しては「お利口」ではなく、「カシコイ」という。
これも関西特有らしい。
by mayukw
| 2005-03-21 16:20
| ことば
vocal&pianoユニットMère(メール)のピアノ弾き。 私のお気に入りをちょこちょこと書き綴る日記です。
by mayukw
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